ダン ローズ氏の『ティモレオン』と題された小説はストーリーがあちらこちらに飛びながら,最後には読者のハッピーエンドの期待を見事に裏切る作品。ティモレオンは犬の名前だが,イタリアの郊外でゲイのコウクロフトという老人に飼われていた。そこに自称ボスニア人の居候が転がり込み,ティモレオンはローマに捨てられてしまう。第二部で,ディモレオンが健気に元の主人の家への岐路で出会う人々の短編が織り込まれており,これが小説の中の入れ子状態を効果的に醸し出している。第三部は元の愛人が戻り,ティモレオンも後少しで家に辿りつくという矢先に,意外な結末が。一読しただけではこの小説な肝要なところが掴めない。ドストエフスキーの作品などと違い,なんとに作品の構図が掴めにくいが,気楽に読むには最適な作品。